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2018年8月 新型液晶(CB液晶)出荷開始 詳細--------------------------------------------------------------------------------------
*この記事は2018年9月13日に最新の情報を踏まえた上更新しました。
2015年から出荷が始まったPENDUAL液晶とその後継のcopula液晶。
現在はスケーリングを行わないCANNON BALLERS液晶が出荷されているため、これらが新たに増えることは無いと思われるが、それなりの期間出荷されていたこと、セガ系列へのcopula筐体導入などもあって、見かける頻度は高い。
PENDUAL液晶やcopula液晶がなぜそれより以前の液晶に比べて悪評高いのか、また設定に関しても言及していく。
1.PENDUAL液晶,copula液晶とは
PENDUAL液晶は2015年の初旬からSPADA液晶の後継として出荷され始めた液晶。
またcopula液晶は2016年の初旬からPENDUAL液晶の後継として出荷され始めた液晶。
人によって定義は様々であるが、この記事では型番GULDJ-JIを前者、GULDJ-JJを後者とする。
各種液晶の判別に関しては
http://bmtetsugtovvvf.blog.fc2.com/blog-entry-6.htmlを参照されたい。
2.SPADA液晶以前のものとの根本的な相違
36インチブラウン管の後継として2007年末から出荷され始めたDJT液晶は37型液晶パネルが使用されていた。それからEMP液晶、RA液晶、tricoro液晶、SPADA液晶とずっと37インチ液晶パネルが採用されてきた。液晶のサイズが変化すると譜面の見え方も変化するので当然である。
しかし、ここにきて全てのディスプレイサプライヤーが37インチパネルの製造を終了。
そこでコナミはふた回りほど大きい42インチ液晶パネルに37インチ相当に縮小した映像を映す方針をとり、そして生まれたのがPENDUAL液晶とcopula液晶である。PENDUAL液晶とcopula液晶のほぼ全ての問題点はこの方法によって生じていると考えられる。
*.tricoro液晶とSPADA液晶の耐久性について
DJT液晶は稼働から8年以上も経っているにも関わらず自然故障の事例は極めて少ない。
しかし、tricoro液晶とSPADA液晶は稼働から数年で自然故障するケース(tricoro液晶はバックライトの発光ムラ、SPADA液晶はバックライトの突然死)が全国的に頻発している。
これはtricoro液晶が出荷開始され始めた2012年の時点で37インチパネルを製造しているサプライヤーがすでに少なくなっており、耐久性まで求めることができなくなっていたからであると推測される。
tricoro筐体やSPADA筐体の液晶がPENDUAL液晶やcopula液晶に換装されていることが度々あるのはこのためである。
3.問題点
(1)バックライトの輝度調節ができない
SPADA液晶までの液晶ではディスプレイの設定における"Brightness"がバックライトの輝度調節に割り当てられていた。しかし、PENDUAL液晶とcopula液晶では"Brightness"が「映像の色味を調節する」ことに割り当てられているため、バックライトの輝度調節が不可能である。この固定されている輝度が(特にPENDUAL液晶では)かなり高いため、フロアが暗いゲームセンターでは眩しすぎて非常に目が疲れるわけである。tricoro液晶も標準設定のバックライト輝度はかなり高いが、"Brightness"で調節できるため、問題にはならない。
参考
(2)BGAの明るさに応じて画面全体のコントラストが変化する
IIDXの画面中央に大きく映し出されるムービー、いわゆるBGAには、曲のリズムに応じて激しく明暗が変化するものが多い。PENDUAL液晶、copula液晶では画面全体の明るさに応じてコントラストが相対的に変化するので、レーンやレーンカバーの明るさがBGAと連動して変化してしまう。(Programmed WorldやDaisukeがわかりやすい。)
参考(あくまでもイメージ)
4.問題点の原因
この項は筆者の推測である。まず下の画像を見て欲しい。

また、図に置き換えたもの。

このように、DJT液晶からSPADA液晶までは本体の筐体PCBから出力される1280*720の映像が直接37インチの液晶パネルに映し出されていた。
余計な変換を挟んでいないので画質の劣化はほぼ無く、またディスプレイの映像設定は「バックライトを含めた液晶そのもの」の設定であるため、バックライトの輝度も変更できた。
一方、PENDUAL液晶とcopula液晶では、本体の筐体PCBから出力される1280*720の映像を、「42インチ液晶に映した時に本来表示させたい領域がちょうど37インチになる」ような額縁付きの1920*1080の映像に、液晶の筐体内部に内臓された専用の基盤でスケーリングし、42インチ液晶に映しているのである。
この方法では、余計な変換を行っているため画質が劣化する。またその分、遅延も増加する。
また、ディスプレイの映像設定は「スケーリング基盤」の設定であるため、バックライトの輝度は変更できない。(身近な例で言うと、ディスプレイと本体が一体型でない、つまり双方がHDMIやDVIなどのケーブルで繋がれているだけのパソコンにおいて、Windowsなどのコントロールパネルからディスプレイの輝度が変更できないことと同じである。)
そしてこのスケーリング基盤がお粗末であるために、前述の3.(2)「BGAの明るさに応じて画面全体のコントラストが変化する」という不具合が起こっているのだと思われる。
5.私たちができること
以上のように、プレイヤーにとって致命的な不具合が満載のPENDUAL液晶とcopula液晶であるが、コナミ側はこの事実を把握しているのだろうか。筆者はコナミに2回「これらのことを把握しているのか。また『不具合』なのかそれとも『仕様』なのか。」という趣旨の問い合わせを行ったが、いずれも回答はなかった。
(そもそもこのような初歩的な不具合が残っている時点でテストを行っていないのは明白。何のために自給自足ゴリラが社員にいるのか。)ブラウン管の寿命や、前述のような純正液晶の故障によって、copula液晶が増殖しつつある今、私たちができることは何であろうか。
(1)DEFINITION TYPEをHD*に。
まずはどの液晶かを見定める。PENDUAL液晶かcopula液晶であった場合、テストモードに入り、GAME OPTION→DEFINITION TYPEをHD*に変更する。HD*にすると、前述のスケーリングによって生じる遅延を加味し、判定位置をDJT液晶と同等にする遅延補正がかかる。
注意:DJT液晶、EMP液晶、RA液晶、tricoro液晶、SPADA液晶、CANNON BALLERS液晶の場合はHDに設定し、絶対にHD*にしないこと。現行のバージョンではGAME OPTIONに推奨設定が表示されているので、その通りにすれば良い。→(2018/11/07 Rootage稼働 HD*設定が消滅しているとの情報あり)
(2)ディスプレイの設定
液晶側面の、画像の矢印が指している部分にはドライバーで開けることのできる蓋がついており、それを開けるとディスプレイの設定が行える。

設定画面を呼び出す。

SPADA液晶までは「ContrastをガンガンにあげてBrightnessを下げる」方法が基本とされてきた。コントラストをあげると「明るいところはより明るく、暗いところはより暗く」なるので、判定文字(ピカグレ)は明るく、1,3,5,7鍵レーンは黒くなる。SPADA液晶まではコントラストを上げて判定文字(ピカグレ)が明るくなっても、Brightnessの調整でバックライトの輝度を下げることができたので、問題なかった。
しかし、PENDUAL液晶とcopula液晶ではバックライトの輝度を下げられないのでピカグレが明るくなるとプレーに支障が出る。
そこで、PENDUAL液晶とcopula液晶ではContrastを下げて、ピカグレの尖りを少なくする。このままだと1,3,5,7鍵レーンが過度に白いので、Brightnessを少し下げて(映像全体の色味を黒くして)黒くする。ただ下げすぎると白ノーツが茶色くなって認識しづらくなるので注意を要する。
以上のことを踏まえた鉄板設定は
GULDJ-JJにおいては
Contrast:10
Brightness:46
GULDJ-JIにおいては
Contrast:20
Brightness:46
である。
しかし、BGAの明るさによって1,3,5,7鍵レーンの明るさが変化するので、これが気になる場合は、Brightnessをもう少し下げる方法もある。
また、白ノーツが茶色くなって認識しづらくなるのであれば、Color ToneをCoolにする(青を強くする)のが有効である。ただ、青が強くなることによってピカグレが眩しくなってしまうかもしれない。
白ノーツが黒く潰れるのは、大抵BrightnessやContrastの下げすぎによるものなので、注意してもらいたい。
以上のような設定を行ってもバックライトの輝度は変更できないので眩しいものは眩しい。

モーリーファンタジーf綾川のPENDUAL液晶の初代筐体。
ただ、上の画像のように、フロア全体が明るいゲームセンターであれば、眩しさはそれほど気にならない。
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この記事で述べたことには、推測や個人の主観が含まれている。
間違っている箇所があればコメントやtwitterでご指摘いただきたい。
IIDXプレイヤーやゲームセンターにとって少しでも役に立てば幸いである。
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